Evidence-Based Social Work
12.19
近年の新しい社会福祉援助技術(ソーシャルワーク)の動きとして、高山が個人的に注目している理論がある。
それは、Evidence-Based Social Work(証拠に基づくソーシャルワーク、EBS)とよばれる援助理論である。EBSは、英国を発端に普及が始まった極めて新しいソーシャルワーク実践方 法であり、まだ日本ではあまり認識されているとは言えないものである。EBSは「厳密な科学的実証に基づく証拠によってより効果の高い実践を行おうとする ソーシャルワークの方法」である。
EBという証拠に基づく実践の考え方は、何も社会福祉のみだけではない。元は、医学から始まった考え方である。EBの考え方は、医学、看護学、心理学、政策、行政、薬学、教育学と幅広い学問にて浸透しつつある。
なぜ、EBSについて注目しているのか。それは、日本におけるソーシャルワーク実践が経験的、属人的な部分が多いのも事実であり、EBP (evidence based practice) が確立できていない面がある。日本の社会福祉の歴史は、慈善的な側面、また日本人の持つ国民性が歴史的に大きく影響を与えてきた。また、もっともなことで あるが、初心者に経験や勘は勉強しようがない。また、その説明を求められても説明できないのが当たり前である。ソーシャルワークの原点に戻って考えると歴 史的に科学的に体系化された援助理論である。すなわち、ソーシャルワークは科学である。そのような意味では、EBに基づいたベーシックな基礎的力量がなく てはならないものであると個人的に考えるからである。
具体的には、聴覚障害者を対象にした場合にも聴力図や実際のコミュニケーション能力、家族構成などの問題の主訴などのデータに基づいて、実践を考慮することが求められよう。
医学や教育もそうであるが、根性論で学べ、根性で痛みに耐えろって言うわけがない。事実や科学的なデータに基づいて、診断、教育することが重要なことは 言うまでもないが、それらについて社会福祉援助技術も含めて、科学的に理論的に実践がなされているのかどうか足下を見直してみると良いだろう。どのように 自身の実践を評価・フィードバックするのか。ここにEBの意義があるのではないか。
EBSについては、関東学院大学の秋山先生の論文に詳しいので、そちらを参照されたい。